ワクチンには、口から飲ませる経口接種と注射による皮下注射及び筋肉注射があり、種類によって接種の方法が決まっています。また、定期接種と任意接種があり、定期接種の費用は公費でまかなわれ(一部、自己負担あり)、任意接種は自己負担となります。補助内容の詳細については、市区町村などにご確認ください。
肺炎球菌
対象
生後2か月から開始します。4週間隔で3回接種します。3回目から2か月以上あけて、かつ、標準的には1歳から1歳3か月の間に4回目を接種して完了です。
5歳未満は公費負担(無料)です。
疾患の説明
乳幼児期における中耳炎や肺炎の代表的な起因菌です。細菌性髄膜炎や敗血症など、重症細菌感染症を発症することもあります。
B型肝炎
対象
生後2か月から開始します。初回から4週以上あけて2回目、さらに初回から20週(139日以上)あけて3回目が標準的な方法です。
1歳未満は公費負担(無料)です。
疾患の説明
代表的な肝炎を起こすウイルスです。乳幼児期(5歳未満)に感染するとキャリア(ウイルスを体内に保有した状態)になる率が高くなるとされています。感染が持続すると将来、慢性肝炎や肝硬変、肝臓がんを発症する可能性があります。
ロタウイルス
対象
ロタリックス(1価)は生後24週までに2回、ロタテック(5価)は生後32週までに3回、生ワクチンを経口接種します。初回は生後15週未満で開始し、4週以上あけます。
疾患の説明
ロタウイルスは乳児の胃腸炎を起こす代表的なウイルスです。嘔吐がひどく水分がとれなくなると脱水症となり、小さい子ほど入院して点滴する必要性が高くなります。稀ではありますが、胃腸炎関連けいれんや脳炎を合併することもあります。
五種混合
対象
生後2か月から開始します。3~8週間隔で3回接種します。3回目から6か月以上あけて4回目を追加します。7歳6か月までに完了するようにしましょう。
疾患の説明
五種とは、ヒブ、ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオを指します。ヒブ(Hib:インフルエンザ菌b型)は、乳幼児期における中耳炎や肺炎の代表的な起因菌です。細菌性髄膜炎や喉頭蓋炎など重症感染症を発症することもあり、これらの疾患は命に関わることや後遺症を残すこともある重篤な疾患です。ジフテリアとポリオは国内での感染はほとんどありませんが、過去には重症例も報告されています。百日咳は乳児では重篤な呼吸障害を認めることもあります。破傷風は怪我をした傷口から菌が入り、痙攣や麻痺をきたす死亡率の高い疾患です。
BCG
対象
ヒブ、肺炎球菌、四種混合の接種がひと段落する生後5か月以降に接種することが多いです。1歳までに接種しましょう。
疾患の説明
結核を予防します。結核は成人では長引く咳や発熱を呈しますが、乳児では全身症状として髄膜炎や粟粒結核という致死的な疾患を起こす可能性があります。
日本脳炎
対象
生後6か月から7歳半の間に第1期の接種をします。標準的には3歳で2回(1~4週間隔)、その後に6か月以上あけて4歳頃に1回接種します。9~12歳に第2期の接種を追加します。なお、日本小児科学会が西日本に居住する小児に対しては、生後6か月からの日本脳炎ワクチン接種を推奨していることを踏まえ、当院では生後6か月からの接種を実施しております。
疾患の説明
蚊が媒介する日本脳炎ウイルスの感染で、急性脳炎を引き起こします。半数程度の方が後遺症を残す、治療法のない重篤な疾患です。日本での発症はきわめて稀ですが、東南アジアなどで流行があります。
麻しん風しん(MR)
対象
1歳から2歳に初回接種をします。第2期は小学校入学前の1年間(年長さんの時期)に行います。
疾患の説明
麻疹は発熱、発疹から肺炎や脳炎などの合併症をきたす疾患で、非常に強い感染力を持ったウイルスです。風疹は「3日はしか」とも呼ばれる発熱、発疹をきたす疾患で、妊婦が感染すると赤ちゃんが先天性風疹症候群という病気をもって生まれる危険性があります。
水痘(みずぼうそう)
対象
1歳から1歳3か月の間に初回接種をします。2回目は初回から3か月以上、標準的には6か月から1年あけます。
3歳未満は公費負担(無料)です。
疾患の説明
みずぼうそうとも呼ばれるウイルス感染症です。発熱と全身に多発する水疱疹が主な症状で、重症化して入院が必要となる場合もあります。帯状疱疹も同じウイルスが原因で発症します。
二種混合(DT)
対象
11歳以上13歳未満に1回接種します。
疾患の説明
四種混合に入っているジフテリアと破傷風について追加接種します。
子宮頸がん(HPV)
対象
シルガード9(9価)は小学校6年生~高校1年生相当の年齢の女性を対象とした、計3回の筋肉注射です。15歳未満の女性は初回接種から6~12か月の間隔を置いた計2回の接種とすることもできます(当院ではなるべく早期の接種開始:2回接種を推奨しております)。二種混合ワクチンとの同時接種も可能です。
疾患の説明
ヒトパピローマウイルス感染症を防ぎ、子宮頸がんなどの発病を予防します。
インフルエンザ
対象
生後6か月から接種できます。1回目と2回目の接種間隔は2~4週です(3~4週をお勧めします)。
毎年10月~1月の間に予約枠を設けます。接種回数及び接種量は以下を参照されてください。
6か月~2歳 |
2回 |
1回0.25ml |
3歳~12歳 |
2回 |
1回0.50ml |
13歳以上 |
1回 |
1回0.50ml |
疾患の説明
インフルエンザの発症及び重症化の予防目的に接種します。(感染そのものを防ぐのではないことに留意ください。)
インフルエンザ(フルミスト)
対象
2~18歳までの方が対象となる、鼻の中に噴霧するタイプの経鼻弱毒性インフルエンザワクチンです。2003年にアメリカで、2011年にはヨーロッパで承認され、日本でも2024年10月から接種可能となりました。1回の接種で完了し、鼻に噴霧するため痛みを伴わないことがメリットです。
備考
<当院における対象外の方>
・重度の卵アレルギーをお持ちの方
・気管支喘息の治療中、もしくは1年以内に発作を認めた方
・免疫を低下させる疾患やステロイド、その他免疫抑制剤の内服により免疫が著しく低下している方
・免疫力が著しく低下している人と同居されている方
・生後6か月未満の乳幼児のお子さまと同居されている方
・けいれん発作の既往のある方
・妊娠中あるいは妊娠の可能性のある方
・アスピリン内服中の方
<メリット>
0.1mlという少量のワクチン液を左右それぞれに1回ずつ鼻に噴霧するため、針は使いません。従来の注射に比べて痛みが少なく済むメリットがあります。
<デメリット>
ワクチン接種後にくしゃみが出たり、喉に垂れたりすることがあります(飲み込んでも特に問題ありません)。接種数日後に鼻汁・鼻閉・咽頭痛・咳などの感冒症状(軽いインフルエンザ様症状)や発熱を認めることがあります。
受けられない方
- 発熱(37.5℃以上)が認められるお子さま
- 急性疾患にかかっているお子さま(急性かつ重症な病気で服薬されているお子さまは、予防接種後の病気の変化が想定できず、またワクチン効果に関しても定かでないことから、接種を延期するのが原則です。)
- 予防接種に含まれる成分で、強いアレルギー反応(アナフィラキシー)を起こしたことがあるお子さま
- 予診票及び母子手帳をお忘れの場合
- その他、医師が不適当な状態と判断した場合
予約に際しての注意点
- 途中から当院でのワクチン接種をご希望される方は、母子健康手帳を十分に確認の上、記入漏れのないよう予防接種歴の入力をお願い致します。
- 途中から当院でのワクチン接種をご希望される方で、ロタウィルスワクチンをロタリックスで接種されていた方、五種混合ワクチンをクイントバックで接種されていた方は、必ず事前にお伝えください。どちらのワクチンも個別で注文が必要となります。(五種混合ワクチンに関しましては、当院はゴービックを採用しております。なるべく同一のワクチン接種が推奨されておりますので、クイントバックでの接種希望の方は必ず事前に申し出てください。)
- 1歳時に同時に接種可能な五種混合、肺炎球菌、MR、水痘、おたふくかぜを2回に分けて接種希望の方は、「五種混合+肺炎球菌」「MR+水痘+おたふくかぜ」の組み合わせの2回に分けてご予約ください(1回で全て接種でも構いません)。
- 当院から自動配信メールでワクチン接種のご案内(定期接種予防接種期限のご案内)が届いた場合、必ず内容を母子健康手帳と照らし合わせてご確認ください。実際は接種済みでも、予防接種歴の入力がない方にも案内が届く設定となっておりますので、十分にご注意ください。
よくある質問
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同時接種って心配ないのでしょうか?
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同時接種により、副反応のリスクが増えることや、ワクチンの効果が減ることはありません。同時接種をすすめることで、病気に対する免疫を早期から得ることができます。お子さまをVPD(ワクチンで防ぐことができる病気)から守りましょう。
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鼻水や咳が少しでているのですが、予防接種は可能ですか?
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37.5℃以上の発熱や、咳がひどい場合などは接種できません。
感冒症状が少しある程度でお子さまが元気なら、診察した結果で接種の可否を判断しますので、ご来院ください。
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予防接種後は運動やお風呂は大丈夫ですか?
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接種後30分は安静にして、アレルギー症状がないか様子をみましょう。
その後は激しい運動でなければ、日常生活はいつも通りで問題ありません。
お風呂も接種部位をゴシゴシ強くこすらなければ大丈夫です。